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つりひと.
 カエルたちのシャワーコールが響く夜.上空では年に一度の織姫と彦星のランデブー.もう7月だというのに肌寒くて羽織ったマウンテンパーカー.それらに包まれて,僕は黒い海へとゆっくりと釣り糸を落とす。

 あまり音を立てないように、するりするりと。
 ぽちゃり、と夜の水面に着く音、くぁー、と遠くでアオサギが鳴く声が聞こえた。餌につけたのは、切りたてほやほやの、僕の思い出話。
こんなものに引っかかって釣れるのは、スーツのしわの数を自慢する疲れたおじさんか、クラゲと寒天の区別も出来ない猿くらいだ。
 でも、たまに釣れるはずの大物に期待して僕は釣り糸を垂らす。
 遠くでぱちゃり、と魚が水面を叩く音がする。静かな夜にそれは溶けていくように響く。ああ、月が綺麗だ。
 月明かりに負けないように瞬く星星を見上げて僕はくらり,としてしまう.あれがデネブ,アルタイル,そしてベガ.僕の隣には誰もいない.星の名前を僕に伝えてくれる彼女はいない.
 アルタイルとデネブは,七夕の今日,ミルキーウェイのほとりで,人間たちの飽和するほどの数の願い事を眺めながら何を語らうのだろうか.それをただ見守るベガはどんな思いで夏の三角形の一端を担っているのだろうか.友だちになるとしたらベガだ,と僕は勝手に思い馳せる.
 
「入り口と、出口」
 僕は小さく呟く。そして、少しの間まるまる。
 それは、始まりと終わり。
 上と下。生と死。牛肉と焼肉。1人の時間と宇宙。
 手足を伸ばして、宇宙を見上げる。僕たちは宇宙を見上げることしかできない。遠い。
 いつだって僕らの頭上には恐ろしく膨大な宇宙と、無限が広がっている。こんな風に見上げなくとも,そこに存在している.星々は今も爆発を続け、誕生と破滅を繰り返している。光を超える速さで宇宙は無限に膨張を続けている。
 想像して、背筋がゾッとする。自分の小ささに絶望する.
 今も地球上で、死んでいく生命は星になって、宇宙へと飛んでいく。
 宇宙はその巨大な数を受け止めるために、今も膨張を続ける。
 生命は、宇宙へ。それは「入り口」と「出口」
 ふと、手にとった釣竿が引かれる感覚。ぴくり。ぴくり。と僕の淡い思い出をつつく誰かの感触.
 タイミングを合わせて、僕は竿を引く。失敗のないように。せーので,引こう。
 君を釣り上げるんだ。僕の青臭い思い出をハナで笑ってくれ.夏の大三角形以外の星星を繋ぐ方法を教えてくれ.
 カエルたちのシャワーコール.堤防を撫でる波の音色.織姫と彦星のランデブー.
 肌寒いこんな日の夜に、1人というのは淋しすぎる。



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 日曜日の午後,僕は特に予定もなく,昼過ぎに起きてきて,だらだらとしています.
 僕の仕事は,若手のころは出張が多くて,昨日は高知と愛媛,先週は広島,その前は香川に島根.
 建設系の仕事と言うものは,たぶんどちらかというと田舎や開発中の地域に多く業務が転がっているんでしょうね.でも,出張も今の内は楽しめています.
 いつか飽きるし,面倒になると先輩方に言われはしますが,出張して,その先で学生時代の友人や先輩と出あうことが出来るのはすごくラッキーなことだと思いますしね.まだ,余裕はないですがいちかは出張先で釣りなんかも出来ると楽しいんだろうと,考えてます.
 
 蝉が鳴き始めて,世間の中高生は期末テストに追われ,もうすっかり夏に入る手順が順調に踏まれ始めてますね,僕はこの春から社会人になった身なので,「夏休み」というものがはっきりと存在しない夏は初めてです,もちろん数日の夏季休暇は与えられますが,そんな長期で旅行したり,なんなら持て余しさえするようなバケーションは当分ありえないんですね.凄く大人になった気分です.
 世間の学生に,もっと好き勝手しろ,遊べと,声を大にして言いたい大人の気持ちが少しわかりました.
 もっと遊びたい!!
 
 あとひと月で23歳になります.
 幼少のころに想像していた23歳よりも圧倒的に幼く,完璧ではないです.でも社会人として少しでも,なにかになれるよう,もう少し大きい歩幅で頑張って行こうと思いつつ,今日と言う貴重な休日を消費しています.
 


【2012/07/08 14:50】 | 日記 | トラックバック(1) | コメント(2) | page top↑
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