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あきよる。
何かが終わることを拒むことが、若さだ。
短い夏が終わったのに、僕はあの頃よりも悲しくない。
今夜は、何かが終わることを悲しいと思いたいなと、愁う夜だ。

昼間の空は高く透いていて、雲の輪郭は煙草の煙のようにふわりとしている。
夜の月は明るくて、月明りに照らされる夜は藍色。
夏のことを考えている間に、熱いコーヒーはゆっくりとぬるくなる。温度を失っていく。
夏にはサイダーを飲むのならば、秋はきっとこんなコーヒーを飲む季節だ。冬はホットココア。
秋という季節は、夏を想うために存在している。
後悔のために、存在している。

そっと目を閉じている間に、セミの鳴き声がすー、と消えて夜の虫が鳴き始める。
夏から秋に。夕暮れから、夜に。
僕は鈴の音に誘われて目を開ける。
回転する思考。
ぼくの世界は、秋を拒みたい。
でもそんな強さもなくて、それを成す仲間もいなくて。僕は冷たい風に流される夏の色を見送ることしかできない。
拒む若さが僕には足りない。
だって、宿題もないし、部活の引退もない。
僕には終わる夏休みがないから、夏を拒む正当な理由がないのだ。

寂しいことじゃないか。
あれだけ終わることが嫌だった夏が、攫われていくことに悔しさを感じないなんて。
そんな形で、大人を実感なんてしたくないじゃないか。


何かが終わることを拒むことが、若さだ。
きっと、なにも変わらないけども、大きな声を出すことがあの頃の僕らの夏の終わりだった。
今夜は、大きな声を出してみようと思う。そのために、ぼくたち大人にはお酒があるんだ。

昼間にちらりと見せた夏の影。空を見上げるのは凡人のすることらしい
黄昏の時は、秋の町。このままやわらかい朱色に溶けてしまいたい。
少しの冷たさは、ぬるいアスファルトのにおいによく合う。
夏に恋が生まれるのならば、秋はそれが愛に実る季節だ。冬はそれを温めあうんだよきっと。
秋という季節は、君を想うために存在している。
君の名をつぶやくために、存在している。

そっと目を閉じている間に、じわりとした汗がすー、と消えてカーディガンを羽織る君の背中を思い出す。
夏から秋に。花火から赤橙に。
僕は震えるスマートフォンに誘われて顔をあげる。
前進する思考。
ぼくの世界を、流してしまいたくない。
ひとりでは、無理なんだ。その世界の速度は、ぼくの知らないもので。寂しさと同じ速度で。きっと、逆らうことができない。
拒むエネルギーが僕には足りない。
だって、秋の向こうには夏がない。僕を笑う上司も、先生もいない。

つまらないじゃないか。
一緒に夏を惜しんで、祭りをしようよ。今から、この僕ときみと、僕の大好きな夏と虫たちと一緒に。
夏が終わるのは、秋の夜が一番なんだ。

祭りの準備をしよう。
今夜はカレーをやめて、シチューにしよう。ただいまと、おかえりを言い合おう。
アコースティックギターで歌うキリギリス。シンバルを鳴らすコオロギ。
アリはトライアングルを鈴虫に運んでいる。ギロを鳴らすよくわからない虫。
セミたちは土の中でリズムを取っている。
オレンジ色。
祭りのクライマックスには、みんなで泣こう。
何かが終わることを拒むために、自分たちで終わらせる。
気が付けば、きっと夏のことなんて忘れている。そして、気が付けば秋は終わっている。
寂しいじゃないか。
それが秋。
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【2015/09/30 22:10】 | 日記 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
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