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げんじつ!
 出来るだけ背を高くしよう。
 僕は何も見逃さない、みんなよりも少しだけ高いところから世界を見渡そう。
 そして、見つけたいと思った。小さい頃には簡単に見つけることが出来た、ワクワク感や心の奥のよくわからない場所がチクリとなる感覚を。大人に近づくにつれて見つけることが難しくなるそれらを。

 高校を卒業してからも僕は、大人になることを拒んでいる。責任は少なめに、でも行動範囲は大きく。型にはまらないゆるさで、誰かのために、何かを僕はやる。
 棒読みで鳴き声をあげるカラスが僕をどれだけバカにしようが、僕は現実を斜め横からしか見ない。見つめない。それが、僕のやり方で、生き方だ。

 ーー伊戸井は、有名人か、死んでるかどっちかだろうな。

 いつか、誰かが言っていた言葉を思う。1か0か。有名人か、死人か。僕はこの言葉を、無意識の内に頭のどこかでよく考えている。
大人とは違う、子供の生き方なんて、そんなものだ。1か0か。あるか、なしか。中途半端を選ぶなんてずる賢いことはしない。自分が面白くないと思うことはしない。
 僕は残念ながら、まだ有名人にはなれていないし、死んでもいない。
 だけど、世間一般の学生や社会人が作業的に、なにかの強迫観念に追われながら惰性で続けている、0.5くらいを積み重ねるような生き方はしていない。
 0だけを並べて、偏った、僕なりの誇らしい生き方をしている。していると思っている。たまに姿を見せる1に縋り過ぎないように、でも忘れないで、思い出しながら、僕は今日を消費している。

 右腕をピン、と伸ばして肘から捻る。骨が乾いた音を立てて、少し緊張がほぐれる心地よい感覚が生まれる。
「受験番号270、伊戸井さま、この度は平成23年度入社選考にらおいて、ご縁がなかったということでーー」
 左腕も同じようにほぐそうとして、左手で持って耳に当てていた携帯電話を右に移そうとした時、電話の向こうの人間がそう言った。抑揚のない、感情のこもっていないお祈りの言葉だった。
「……ありがとうございました」
 右手に携帯電話を持ち替えて、左手を先ほどの右手と同じようにほぐす。そして、息を深く吸って吐き出した。
 相手が通話を切るのを確認してから、携帯電話をポケットへ入れる。大学卒業を間近に控えた僕が、最後にサイコロを転がすように受けた就職試験の結果は、不合格だった。
「うー、あー、うーん、あ……ねえ」
 何とも言えない気持ちになって、なんとなく声を発してみる。意味はない。何も伝えたいことはない。自分を納得させる言葉も必要はなかった。
 1か0か。
 別にそこに就職したかったわけではない。それどころか、いまの僕に就職したい場所なんてない。ただ、周りの目と親へ、ポーズをとるために受けたような会社だった。そのことを考えると、むしろ落ちてよかったのかもしれない。もし、仮に受かっていたとしたらそれは1ではない、中途半端な0.5の現象だ。これから先長い人生、その0.5のために、最高でも最低でもない生活を送る羽目になっただろう。そうなんだ。
「ジャニーズにでも、入るかな」
 最高に愉快なことを呟いてみる。これは間違いなく1だ。でも、違う。僕にはこれじゃないということくらい理解している。
 ふと思い立って、僕は携帯電話を取り出して、ブラウザを起動する。
 携帯電話を親指で操作して、出来るだけ人がたくさんいて、馬鹿から天才までいるような掲示板を探した。そこにスレッドを作成する。その見出しはこれだ。
「誰かのために、何かをしませんか? 最高にカッコいいことは、本当のバカにしかできない。だから、かっこいい!」
  なかなかいい。納得の出来だ。
 僕はひゅう、と口笛を吹き、操作を進める。最後に、ハンドルネームを入力してくださいという指示があった。そこに伊戸井、と本名を入力しようとして、手を止める。何かいい、ハンドルネームはないだろうか。
 糸楊枝、紐男、無職(仮)、明日からの解放、スケアクロウ、世を捨てるモノ、1か0か。
 ピンとくるものが浮かばずに、無駄な言葉の羅列を続けていた僕は、最後の言葉にピンときた。
 ハンドルネームの欄に『1101』と入力する。
 1101、いとい。
 大人とは違う、馬鹿正直な子供の生き方。1か0かの生き方。
 今は0ばかりだ。大学を出る僕の先にはまだ0しか見えていない。
 でもいつか、1を並べよう。たくさんの1が芽吹き、実をつけて、僕は有名人とは言われなくとも、自分のやりたいことをやって生きていこう。
 でも、人生が1ばかりというのも少し退屈するだろう。だから、たまに0があるくらいがいい。半分よりも少ない程度の0がいる。スパイスのように。
1101くらいの割合だ。
 これを目指そう。その思いを込めたハンドルネームだ。
 作成する、というボタンを選択し、僕は作業を完了させる。今日はもう寝よう。また、明日の朝にチェックをしよう。
 ごまんと作成されているスレッドの中に、僕のものが並んだ。後は誰がの共感を待つだけだ。
 いまの世の中、始めることは簡単だ。親指ひとつで、無限に世界は広がりをみせる。妥協と、中途半端が織り成す世の中なんて、ちっぽけだ。
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【2012/03/05 04:37】 | 日記 | トラックバック(1) | コメント(2) | page top↑
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コメント
何かをしでかしたい、そんな気持ちを再確認したよ。
そして彼がまさにこんなきょうぐうなんだろうと容易に想像出来てしまったよ。
【2012/03/05 07:08】 URL | さとっちゃん #-[ 編集] | page top↑
な、生々しいよ…(゜゜;)
【2012/03/05 18:41】 URL | かずいちぜろにのまえ #-[ 編集] | page top↑
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