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おくじょう!
 最近,読みたかった小説を読みまして.絶望センチメンタル
絶望センチメンタル (メディアワークス文庫)絶望センチメンタル (メディアワークス文庫)
(2011/12/22)
朽葉屋 周太郎

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 という作品なのです.そして,これを読んで,また昔の作品(未完)を思い出しました.
 自殺,や少年時代の抱えるモラトリアム,やるせなさ,無力感,そして若者らしい浅はかさ.経験値のなさ.
 そういったものをテーマに,僕は作品を書きたいのです.
 僕は青春コンプレックス,中二病,アダルトチルドレン,なんかそんな風なタイプの人間でして,自分の抱えていたあれこれを解決して納得していくためにもそういった作品の完成を目指しています.
 そこで,であったのがこの作品.
 
 >今日こそはアイツに復讐しよう。公園のベンチに座ってそう決意する僕の目の前に、女子高生のお姉さんが落ちてきた。
 ……アスレチックの上から。
 彼女は微笑んで言う。
「しようぜ、復讐」
 見知らぬお姉さんに引きずられ、僕(=小学五年生)の奇妙な旅が始まった。旅なのか……な?

 第17回電撃小説大賞〈メディアワークス文庫賞〉受賞後、第一作。可愛げのない小学生と、破天荒な女子高生。おかしな二人の奇妙な旅を綴るメランコリック・ロードノベル。 <引用...メディアワークス文庫本背表紙>


 主人公の小学五年生らしさ,そして女子高生のお姉さんの若者としての心.
 時折,コミカルでやるときはやる.シリアスもあって,ラストにはほどよい喪失感.
 短く,纏めすぎ感もありましたが,なかなか満足もありました.
 そして,下に記載する,僕の作品.
 これは,僕の能力ではまとめきれず,放置していたものになるので序だけですが,これの到着地点のヒントはこの作品の中にあるのかもしれないな,と思いました.そして,同時にこの僕の作品はある作品のパクリ作品なのですが,そのある作品は,絶望センチメンタルにも通じる部分があったのですね.もしかしたら,同じような感性で描かれているのかもしれません.










 この世界に未練とか、執着がまったくないわけではなかった.
 でも,それ以上に,虚しさとか切なさと、よくわからない渇きを抱えたまま生きるのはものすごく大変で、面倒なものに感じられた。だから,もういい.どうせ,そんなものだ.
 君が無駄に過ごした今日は、昨日死んだ人が、死ぬほど生きたかった明日でもある。
 そんな,たいそれた昔の人の偉い言葉を思う.それはそうだ.ごもっともだ.でも,そんな彼らと代わってあげたくても無理なわけで,だからといってどこのだれかもわからない人間の事を思いながら,日々を謳歌できるほど自分が出来ているわけでもない.
 ああもういい.どうでもいい.こんなもんだ,そんな程度だ.
 もう,おしまい.



「……へー,怖い」
 お腹の真ん中の奥辺りがきゅう、と縮こまる感覚。六限目の世界史の授業をサボって、訪れた屋上から地面を見下ろして少女はそう呟いた.足元の遠くに見える地面は,思った以上に遠くて、現実味を帯びていて、そんな感覚を味あわせる。
 ひとりの少女でさえも簡単に乗り越えられる程度の低いフェンスしか,遮る物のない屋上には、冬をはらんだ少し肌寒い風が強く吹いていて、少女の髪を揺らす。落ち着きのない髪を手で押さえて、少女は空を見上げた。
「普通」
 空に一番近い場所。
 この夏に引っ越して来た少女にはこの街のことはよくわからなかった。
だから、この街の中で一番空に近い場所を考えたとき、この屋上という場所が一番に思いついたのだった。
 でも、その空に一番近い場所から見た空は特別なんて訳ではなくて、やっぱり普通だった。
 少女はフェンスに背を預けて、制服のポケットから飴玉の包み紙を取り出す。包み紙の両端を引っ張ると、ころん、とだいだい色をした丸いキャンディーが出て来る。
 屋上から飛び降りる前には甘いオレンジキャンディーを舐めてから、と昔に小説か何かで読んだことがあった。なぜか今朝そのことが頭をよぎって,わざわざそのために買ってきたものだ。
 キャンディーを口にほうり込むと、甘くて酸っぱい味が少女の口の中に広がる。そしてもう一度空を見上げると、やはりそれはさっきと変わらない空だった.だけれど、少しだけ特別な気がした。
 二、三歩足を前に出したら足場を失う屋上の縁に立ち、平凡な空の下で、平凡なオレンジキャンディーを舌で転がしている。そう考えるだけで,なんだか特別な感じがしてくる。

 ガシャリ、と音を立てて背をフェンスから離すと、少女は二歩足を前に出す。そして屋上のほとんど端っこに立つ。空も、地面も見ない。平凡な空も,今から口づけをする地面にも興味はなく,ただ少女ただ真っすぐと前を見つめていた。
 太陽が少しだけ傾き始めて、辺りは赤に変わりかけている。今頃少女の居ない教室では、クラスメイトが眠気と戦ったり、負けたりしながら将来何の役に立つのかもわからない過去の出来事についての話を先生がして、生徒のみんなはそれを必死に、まるで脅迫のようにノートに書き写しているはずだ。

 それが、普通なのだろう。

 それが学生に与えられた必然で、絶対なのだから、それを成すことが当たり前なのだ。でも、少女にはその普通が普通ではなかった.そんな生活をのうのうと送ることなんて考えられなかった。
 それならば、学校を辞めて、売春行為でもして適当に好きなことをやる方がリアルを感じられて、いい気さえした。といっても、少女が今ここに立っているのは,そんなこと出来ないからだ.こうすることしか選べないからだ。

 後一歩、前に足を踏み出したら死ぬ。
 誰も,考えもしていないだろう。
 クラスメイトが屋上から飛び降りて死ぬなんて。
 少女はオレンジキャンディーの味を噛み締める。甘酸っぱいそれは、最後に感じる味覚として十分だった。


「で? そこからどうすんの?」
 秋の風がまた強く吹いた。その風にのって小さな落ち葉が空に舞い、少女の耳に突然誰かの声が届く。
「飛び降りたら、痛いよ。きっと」
 屋上には、誰もいないはずだった,少女はそのことを記憶を頼りに再確認する。来たときに確認はしたし、授業中なのだから生徒は教室にいなくちゃいけない。少女がこの場所に来てから,屋上の入口の扉が開いた音もしなかった。
 少女はその軽い声に誘われて、そこを見上げる。すると、屋上の真ん中辺りにある給水塔の上に立つ少年が目に入る。人影なんてなかったはずのその場所には確かに,少年がいた.
「なぁ? 何か言いなよ」
 少女のことを見下ろす少年は、少女と同じ高校の制服を着ていた.口には煙草をくわえていて、銀縁の眼鏡をかけている少年は真面目そうに見えて、意地悪そうな顔をしている。メガネのレンズが斜陽によって時折,反射する所為か,笑っているのか苛立っているのか表情が読めない.
 その無神経な言葉の投げ方に,なぜか少女は腹が立った。何故かはわからないけど、他人に腹を立てたり苛立ちを感じることなんて久しぶりだった。
その苛立ちに任せて少女は「なんか」と適当に答える。
「かわいくねーな、お前」
「結構です。あなた、なんなんですか? 授業も受けずに生徒が何してるんですか?」
「……昼寝」
 少女は飛び降りる屋上の端に背を向けて、少年の方に体を向ける。
「こっそり授業抜けて、わざわざ屋上に来てるわけ。昼寝といえば、屋上だろ? ……自殺といえば屋上、の少女さん」
「っ……」
 なぜ、こんなにもこの男に苛立っているのだろうか。少女は自分でもわからなかった。
少女の生活はいつも,平坦で何もなかった.引っ越しの多い家庭柄のせいで,人とのかかわりにいつからか線を引くようになったのだ.
どうせ,どうせ,ここで生まれた繋がりも,縁も少しの間だけのものだ.
そんな風に,一歩引いて,人と接するようになっていた.だから,興味も持たないし,もたれない.だから,ここまでなのだ.少女はいつもそう諦めて,もう諦め過ぎて今日ここにやってきていた.
とにかく、嫌いだ。この男を好きにはなることはないと少女は結論付ける。早くこの男とのやり取りを終えて,やらなくてはならないことが少女にはあるのだ.
「飛び降りるのは、やめとけ。後始末が大変だし、奇抜性に欠ける。せめて、スーパーマンの恰好をして飛び降りろ。そしたら、飛ぶ練習と間違ってもらえる」
 少年のその狙ったような言葉は全然、まったく、すごく、おもしろくなかった。でも少年は自分の言葉を気に入ったようでケタケタ笑っていて、そこもまた突っ込むのに少女は嫌気がさし,くだらない,と心で毒づく。
「別に、ほっといてください。あなたに迷惑はかけませんから」
「いやー、迷惑をかけたくないなら、別の学校の屋上から飛び降りてくれよ。俺はこの屋上が好きなんだよ。な? だから、そんな辛気臭い顔して死なれたら、次から俺が気持ち良く寝れなくなる」
「私,このあたりのことよく知らないので他の学校なんて分かりません.だから、無理です」
 少女は、もう少年の相手をするのが面倒になって、そう言って背を向けた。
もう時間の無駄だ.人に見られながら落ちるのはすごくやりにくいけど,仕方ない.もしかしたら落ちる瞬間に風でスカートの中が見られてしまうかもしれない.そう考えると,この男に見られるのは嫌だし,腹が立った.短パンをはいてこればよかった.でも,どうせ,死んだら何も考えることは出来ないのだから,別にかまわないか.
少女は少し,彼の視線に気まずさと違和感を覚えながら,足を進めようとした.
「――おい! やめろって言ってんだろ」
 しかし、勢いのある大声に誘われて思わずまた振り返る。ちょうど少年が給水塔の上から飛び降りて屋上に見事に着地した。投げ捨てた煙草は風に流されて、どこかへ消えてしまう。
 少年は少しの間、着地した態勢でその場にうずくまっていた.でもしばらくすると立ち上がって少女の近くへと足を進める。
 少年が近付くにつれて,少女にはいままで感じたことのない他人への違和感や,嫌な気分に襲われた.今,少年に近くに来られるのはどうしても避けたいと思えた.
「や、やだ。こないでよ」
 だから少女は声をあげて、拒絶を示す。
「嫌なのよ」
でも後ろには下がれなかった.もし,このまま後ろに下がってしまうと自分のタイミングで,落ちて死ねないから.そんな変なこだわりと,固定思考が少女の足をとどめた.そして,止めた足に反比例して,動き出す口先.
「私は、こんな毎日似たような繰り返しで生きることなんて。くだらない会話に花を咲かせて、役に立つか立たないかなんてどうでもいいような知識を埋め込まれて、結果とか将来に気を使う社会に出ていくなんて真っ平なの。だから、だから私はここで終わりたいのよ。逃げるのよ。でも、そうしたとしても皆は何も感じないの。私なんていなくなっても、笑いもしないし悲しみもされいの、だから、ほっといてよ。近づかないでよ」
 その口先が紡ぎだす羅列は,醜くて薄っぺらな机上のものだった。
「辛気臭いなー。つまり、”寂しい”ってやつだろ?」
 だからだろうか少年は、知った風な口を聞きながらそう纏めた.フェンスを簡単そうに乗り越えると、少女に向けて右手を差し出した。まるで「帰ろう」と言うように。
「や、いやよ。あなたなんかに連れ戻されるなんて絶対に嫌」
「違ぇよ。飴、くれって言ってんの。お前が今舐めてるその飴」
 だけども,少年が少女の目をそらしながら,まるで照れを隠すように放った言葉は,まったく想像を外れたものだった.少女は,その言葉になぜか失望する.期待をしていたわけではない,むしろ言ってほしくなかったはずなのに,拍子抜けしてしまう.そういう人間なのだ.きっとそうだ.自分の事しか考えていない.他人の気持ちなんて,分かろうとしていない.
「煙草吸ったら、なんか欲しくなんだよ。だから、くれよ。まだ持ってるんだろ? それに死ぬんだったらいらないだろ」
  この人間は、どこまで自分勝手なんだろう。他人の心配なんてまったくしていない。最低な男。少女は壮大にため息をつく。
「あげるわよ。飴くらい!」
 気が抜けて、腰も抜けそうになりながら、ブレザーから飴を取り出して差し出す。
「じゃ、ありがたく」
 だけど、急にかかった引き寄せられる力に抵抗することが出来ず、少女は少年によりかかった。一瞬何が起こったのか,理解することが出来なかった。
 少年の右手は少女の差し出した右手の手首を掴んで、引き寄せたのだ。
 少女の掌からこぼれたオレンジキャンディーが屋上を転がり、少女に代わって地面へ向かって飛び降りる。
「つかまえた。……俺、遠野朝日って言うんだ。明け方に昇る太陽の、朝日」
 少女はこんな男に捕まってしまったという失態を悔やみ,そして同時に,焦りと戸惑いに襲われていた。少女の手をつかむ少年の手はひどく冷たかった.
 しかし,久しぶりに触れる人間の感触は,少しだけ少女の心をこの世界に引き留めさせた.
「死ぬなよ」
 なんて甘美で,軽くて,偽善に満ち溢れた四文字なんだろう.
私のことを何も分かっていないのに,よくもこんなことが言える.少女はひどく笑いたい気分になった.
夜を照らす太陽を名乗る少年は掴んだ手に力を入れて,少女を胸に抱く。二、三歩足を前に出したら足場を失う屋上の縁に立つ少女は、夕暮れ間近,平凡な空の下で、初めて出会った少年の胸に抱かれている.有りがちな映画のワンシーンみたいな状況の中,少年が口にした言葉は異常だった.自殺を考えていた少女の頭も異常だが,それと同じ位に彼もまた壊れていたのだ.
「死ぬなよ.どうせ死ぬなら,俺が殺してやる.奇遇だけど,俺もお前と同じ理由でここに来たんだ.自殺なんかよりも,ヘビーでクールな死に方をしようよ,そして人生最後一緒に思い出を作ろう,そして」
 少女は,口の中にあったオレンジキャンディーの甘酸っぱさが、すっかり消えていたことに気がついた。
「俺も死ぬ」
 なんて劇的な出会いなんだろう.
 太陽が赤く染まっていく,授業の終わりを告げるチャイムが鳴り響く.それは同時に彼らの始まりを告げるチャイムだ.
 少年が朝日,世界に朝を告げる太陽ならば少女はその光に照らされて光ることを許された月,満月にはなれない三日月.太陽が照らすことを辞めた時,月は二度と光ることは出来なくなる.
悪くない気分だ.笑ってしまいたい気分も,少年へのどうしようもない苛立ちも,何もかもが少女の心の中で居場所を探していた.この気持ちの名前は何と言うのだろうか,少女には何もわからなかった.だから,それがわかるまで死ぬのをやめるのも悪くない,そう思えた.
悪くない気分だ.本当に,最低な夕暮だ.


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【2012/04/29 00:42】 | 短編小説 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
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