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かわぐつ。

ぼくの革靴のつま先は汚れていく。
歩き方が下手なんだ。
自分の足につまづくように歩くから、すり減って、汚れていく。
ぼくの肺は汚れていく。
休み方が下手なんだ。
煙草を吸い込んで、吐き出す。古い部屋に溶けていく紫煙がさみしい。天井も、臓器も、染み付いて、汚れていく。
幸せのことについて考える。
くだらないことの中で浮かんでいる時、役に立たないことを自慢気に分かち合う時、よく笑うこと。
ネットワークが足りない。僕のいまには、繋がりが足りない。ひとりで完結した日常には、なんの広がりも、期待も感じない。そこに幸せの匂いはしない。湯気がない。
自分で自分を認めるのが下手なんだ。
誰かに認められたい。ぼくを知らない誰かに。適当に、無責任に救われたい。

ぼくの革靴のつま先は汚れていく。
それは日々の磨耗。
日々の勲章じゃないかと誇る父の言葉を、ぼくは使い古したスニーカーと一緒に捨てる。そして暫くゴミ箱を見つめた後、スニーカーだけを拾い戻す。靴を捨てるということは、歩いてきた証を捨てることだ。だから、ぼくは捨てられない。ぼくの玄関は肥大化を続ける。
聴かないCDのケースに積もる埃。それは生活の停滞。
目をそらし続けていたら、いつか心地よい風が吹き攫ってくれるとぼくは疑わない。僕にとって信じることは、疑わないことだ。ただただ無責任な委託。そこに信頼はない。

あなたの靴を磨きます。
という看板を見つけた。都会の駅裏。しん、と時間が止まったような店構えのそこには、両手を油で汚したロングコートの若者が立ってる。
僕の革靴を見て彼はなにを思うのか。5年間履いた、この靴で僕はどこを歩いてきたんだろう。
あの頃、ピカピカのこの靴を履いた僕は、どこに歩き出したかったのだろう。どこに連れていってほしかったのだろう。
油で汚れた手を、彼は丁寧に洗ってぼくを招く。
そんなことしなくていいんだ。きみのその手にぼくの靴は救われたいんだ。
時間をください。
ぼくに、靴紐をほどく、時間をください。
帰ってきてくれるかどうかわからないまま、僕は革靴をを差し出す。
スリッパで待つ僕は、走り出す術を失った。いま僕が走り出すには、素足になるほかにない。

でも、きっと、すべてがリセットされる。
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【2015/05/23 00:30】 | 日記 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
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